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カナダの研究者による素晴らしい研究が行われました。今回は外陰部痛を有する女性における理学療法の効果について、無作為化比較試験と一晩リドカイン軟膏を使用した報告について、比較してお話しします。

最初に、このトピックをより深く知りたい方のために、他の記事へのリンクを交えて簡単な紹介をします。その後、研究方法とその結果、そして骨盤理学療法士*のための臨床的な意味合いについてお話しします。

*骨盤理学療法士=骨盤領域、骨盤底機能障害に関する教育を行う理学療法士

外陰部痛の症状:外陰部を圧迫されたときや挿入時に痛みがあります。この慢性的な症状の原因は不明で、三環系抗うつ薬のような鎮痛剤にはあまり反応しません。現在のところ、5%のリドカインを局所的に一晩投与する処方が時折されています。骨盤理学療法士は、また、骨盤底エクササイズ、腟の拡張、リラクゼーション、教育(疼痛管理)などの様々な治療法を用いて、外陰部痛を有する女性に対して、治療を行っています。

なぜこの研究をしたのですか?

これまでのところ、外陰部痛の骨盤理学療法の効果に関する無作為化比較試験は行われていませんでした。しかし、小規模な(パイロット的な)研究では有効性が示されていました。そこで、彼らはこの無作為化比較試験を行い、外陰部痛を有する女性における理学療法の有効性について、一晩リドカイン軟膏を使用した報告と比較し検討しました。

調査はどのように実施されましたか?

対象者

  • 未経産婦(n=212)
  • 年齢18 ~ 45歳
  • 性交時の疼痛が6か月以上継続(疼痛強度がNRSで5以上)
  • 婦人科医師が診断を行った

主な除外基準

  • 他の泌尿器科疾患/ 外陰部痛を呈する者
  • 理学療法/ 以前にリドカインを使用したことがある者
  • 研究に支障をきたす可能性のある症状

アウトカム:

測定時期:ベースライン、治療後、治療後6か月

主要アウトカム

  • 性交時の疼痛強度(平均値)(NRS 0=痛みなし、10=最も強い痛み)

副次アウトカム

  • マクギルペイン質問票(MPQ)
  • 女性性機能インデックス(FSFI)
  • Female Sexual Distress Scale (FSDS)
  • 治療に対する満足度(0=不満である, 10=十分満足である)
  • 治療の順守率
  • 副作用

結果はどうなっているのでしょうか?

主要アウトカム:両群ともに疼痛が有意に減少しました。骨盤底治療については、リドカインの治療後(ベースラインNRS:7.3、治療後:2.7、治療6ヶ月後:3.0)、治療6ヶ月後(ベースライン7.3、治療後:4.5、治療6ヶ月後:4.8)と比較して有意に良好でした

副次アウトカム:両群ともすべてのアウトカムにおいて、有意に改善しました。しかし、骨盤底治療群では、痛みの強さ、質、性機能、苦痛に関して有意な改善がみられました。この結果は、治療後6ヵ月の時点でも維持されていました。

治療満足度は、骨盤底治療群(治療後:8.9、6ヶ月後:8.5)がリドカイン治療群(治療後:5.6、6ヶ月後:5.2)に比べて有意に高値でした。

治療順守率:治療群(脱落者6名)、その他の女性はすべてのセッションに参加しました。ホームエクササイズ85%。薬物治療:リドカイン(脱落者5名)91%(中央値)。

有害事象:骨盤底治療群:なし。リドカイン治療群:1名(皮膚炎15%、軽度の刺激性または灼熱感)

(骨盤) 理学療法士のための臨床的な意味合いは?

この無作為化比較試験の結果は、骨盤理学療法が外陰部痛を有する女性にとって、効果的で重要な治療法であることが確認されました。そのため、医師だけでなく、外陰部痛を有する女性にも、この研究と結果を知ってもらうことが重要だと思います。

この研究は、このトピックに関する他の医療関係者との連携において、外陰部痛を有する女性に対し、資格のある骨盤理学療法士と骨盤理学療法を紹介することで、医師を助けることができます。重要な要因は、骨盤理学療法士が十分な教育を受けていることです!

骨盤底治療群の女性は、1時間ずつのセッションを10回、合計10時間行いました。10時間の診療報酬が問題になるかもしれません。しかし、エビデンスに基づいた最適な結果を得るためには、完全なプロトコルに従うことが重要だと思います。

この外陰部痛の治療は、骨盤底機能障害と疼痛管理に関する経験と教育を受けた理学療法士によって行われます。別のブログでは、心理学者/性科学者によって行われた暴露療法による腟痙攣の治療の素晴らしい結果について述べています。外陰部痛と腟痙攣の病因はよく理解されていませんが、治療法には多くの共通点があります。

 

Reference:

Morin M, Dumoulin C, Bergeron S, Mayrand M-H, Khalifé S, Waddell G, Dubois M-F, For the PVD Study Group, Multimodal physical therapy versus topical lidocaine for provoked vestibulodynia: a prospective, multicentre, randomized trial, American Journal of Obstetrics and Gynecology (2020), doi: https://doi.org/10.1016/j.ajog.2020.08.038.

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